トップページ > 003 反響が多かった「もてる作品」 > 先輩上司に教わったこと 2

先輩上司に教わったこと 2

「私が先輩上司に教わったこと 2」

 
私が谷田君と会ったのはちょうど半年前。

彼は私の隣の部屋に越してきました。


彼が東京に出てきた最初に口を利いた人間が私だったこと

彼の資質が人懐っこいということもあり、私と谷田君は

東京1日目からご近所さんとして仲良くなりました。


彼は茨城の田舎から出てきた20歳の少年。

夢を抱いて東京に出てきました。


彼は早速仕事を見つけて、働き始めました。


しかし、慣れない都会生活。


ある日谷田君が私に相談をしました。


「俺にはもう無理です。もう辞めたいです。」


ある晴れた日の朝、ついに彼は根をあげました。


彼はそれからも職を転々としました。

普通に考えれば根性の足りない甘ったれ野郎です。


しかしですね。

今はこう思います。


職場が嫌なら辞めちゃっていいと。

自分に合う職場に出会うまで探し続ければいいと。


本人が明らかに間違っていない限り。


今は少しだけそう思います。


当時は、「この根性なしが!」と思ってました。


でも、どうやら彼が根性なしなのではなかった。


周りにいる大人が彼のやる気と能力を引き出すことができなかった

だけです。

見る目の無いアホ共だと思います。

谷田君から彼らの話を聞いていてそう思いました。


彼らは見た目や表面的なことだけを見て彼の本質を見なかった。


私には一つだけ自慢があります。

彼が東京で職を転々とし続けていたときより、うちの会社に来てからの方が、

明らかに「いい顔」をしていることです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


谷田君は4日連続でボウズ。

しかし、彼は「辞めたい」とか「辛い」とか一言も言いませんでした。


「結局そういうことだ。彼が半年前、根をあげたのは

 彼の本質ではない」

5日目の営業。

教えることは全て教えた。

「あとは一人でやるんだ」

私はそう言って、彼を送り出しました。

それからもう一言

「最初の契約がとれたら、電話して。」

そう言いました。


営業終了は17:00

時刻は16:50分

谷田君からの電話はありません。


「今日もダメか。。」


そう思ったとき、着信音が鳴り、携帯のディスプレイに

文字が刻まれました。

「 谷田君(隣の小僧) 」

動悸が高まり始めました。